全国の新聞販売所等が実施している地域貢献活動を顕彰する日本新聞協会の地域貢献大賞で、御坊市などで読売新聞販売店(YC)5店を営む藤田町吉田の読売新聞紀中販売(有光正和社長)が地域貢献賞に選ばれた。25年にわたり、配達や集金中に高齢者らの見守り活動を行い、ミニコミ紙で防犯を啓発する取り組みが評価された。

 同社は御坊市など県内2市6町で事業を展開している。1994年、社長の有光さん(61)が顧客の一人暮らしの高齢者が亡くなり、その際、新聞受けに新聞がたまったままだったことを知って以来、従業員らに「読者や地域住民の異変を感じた場合、すぐに現場責任者に連絡を」と徹底。不審な点があれば店長らに連絡し、近所の人に様子を聞くなど安否を確かめる取り組みをスタートさせた。

 03年からはミニコミ紙を月2回発行。警察と連携し、交通安全を啓発したり、特殊詐欺への注意を呼びかけたりしている。15年には「見る見る見守り隊」を発足させ、活動を強化。読者会員を対象に安否が気遣われる場合には、離れた場所に住む家族ら、事前に登録された連絡先に通報する取り組みも始めた。

 活動は根づき、これまでスタッフが新聞配達を中断して高齢者を病院に搬送したり、通報がきっかけで体調を崩して動けなくなった一人暮らし女性の救出につながったり、大いに貢献。有光さんは「地域でお世話になるなか、当たり前のことを当たり前にやっているだけです」と話し、「これからも少しでもお役に立てれば」と笑顔を見せている。

写真=地域貢献賞で贈られた盾と有光さん