読書の秋である。御坊おはなしの会の講座「図書館のあれこれ」を取材した。昨年に続く講座で、今回の主なテーマは「公共図書館と学校図書館」◆小、中、高校と図書委員だったが、中学校の図書室の楽しさはまた格別だった。古い木の床に古い木製の机が並び、古い書架には古い本だけでなく新しい本も豊富に収められていた。「ふりむけば風のなかに」「夕ばえ作戦」「ポニーテールは王女さま」等、あの頃人気だった本の書名も思い出せる◆本も魅力だったが、雰囲気もよかった。図書室に本来求められる静けさはあまりなく、男子も女子も大勢やってきては、サロンのような賑やかな雰囲気の中で本に親しんでいた。陸上部や吹奏楽部の友達も、練習の合間にやってきては喋ったり遊んだりしていった。ざわめきは読書の妨げにはならず、むしろ心地よいBGMだった◆現在、地元の学校図書館は決して理想的な状況にはないようだ。目録がなかったり、資料が古かったりする。もっとも学校によって状況は違い、ボランティアや寄贈図書によって内容が充実しているところもあれば、昭和50~60年代以前の本が蔵書の多くを占めるところもある。筆者は誰かの書き込みのあるような古い本など大好きだが、そんな子どもはそうはいないだろう◆市立図書館では状況を把握し、学校司書と協力してきめ細かな資料提供、快適な図書室づくりに努めていくという。図書室が子どもの居場所として「すてきな場所」になるよう、オセロなどのボードゲームの貸し出しも取り組みとして挙げられた。素晴らしいことだと思う◆子どものための図書室は、しんと静まり返った「知的な場所」である必要はない。その場所はいつも、「人がいる」ことを何より求めているのだから。(里)


