改組新第6回日本美術展覧会(日展)の第2科・洋画部門でひまわり会会員の前敏夫さん(75)=御坊市湯川町財部=が初入選、第5科・書部門では耐久高校非常勤講師の杉村玉鳳(本名・明信)さん(63)=印南町印南=が4年ぶり7度目、紀央館高校教諭の石田心聲(本名・真弓)さん(40)=海南市=が12年ぶり3度目の入選を決めた。日展は11月1日から24日まで、東京都港区六本木の国立新美術館で開かれる。
洋画の応募総数は1677点で入選528点、県内からはわずか3点だった。
前さんは生まれつき弱視だったが子どもの頃から絵を描くことは大好きで、中学生の時に油絵を始めた。和歌山市の盲学校を22歳で卒業、当時県内で第1号となる理学療法士の資格を取り、美浜町の国立和歌山病院で勤務。仕事をしながら休日には好きな絵を描き続け、30年ほど前に洋画ひまわり会に入会した。カンバスに目を近づけて描く必要があることから、絵全体を桝目で区切り一つ一つのブロックを着色して仕上げる手法、小さな点をびっしり並べて仕上げる点描の手法を独自に編み出した。描く題材も風景画、静物画、人物画、抽象画と幅広くチャレンジ。同会入会後は御坊市展、県展とコンクールへの出品を続け、県展には5回入選。日展には5年前から毎年出品しており、今回は5回目で初めての入選となった。
作品は「三陸 リアス線」。岩手県へ旅行した時に撮影した三陸鉄道の写真をもとに描いた。「さんてつ」の愛称で住民に親しまれる鉄道で、東日本大震災で被災、一時は休業していた復興のシンボル的存在。F100号(130×163㌢)の大作で、8ヵ月ほど掛けて点描で制作した。白い霧に覆われた山間の鉄橋を渡る列車をダイナミックに捉え、山の緑などが美しく描かれている。「絵はずっと好きで、楽しみながら描いています。そこに賞をいただくという目標を掲げることで、より充実した時間を過ごしてきました。描き方も自分で工夫して編み出したもので、努力を積み重ねてきたことが評価していただけてうれしく思います。人生は自分でつくるもの、他人になんとかしてもらうものではないと、この年になって実感しています」と喜びをかみしめ、「次は抽象画や人物画でも入選できるように、挑戦を続けていきたいですね」と意欲的に話している。
写真=前さん㊤と前さんの「三鉄リアス線」



