美浜町の地方創生事業「日の岬・アメリカ村の再生とふるさと教育」の一環で、NPO法人日ノ岬・アメリカ村(小薮清信理事長)が運営する三尾のゲストハウス「遊心庵」が1日、宿泊施設としてオープンする。カナダ移民の歴史や文化を伝える施設として貴重な建物を保存しつつ、三尾を訪れる人を迎え、くつろげる空間として生まれ変わった。

 遊心庵は、集落中心部の高台にある、三尾からカナダに渡りサケ漁で成功後帰国した田中松蔵氏により、1933年頃に建てられた邸宅。和風建築のなかにもカナダの様式を取り入れた和洋折衷の建物で、カナダ移民の歴史や文化を伝える貴重な施設として、国の登録有形文化財に指定されている。

 宿泊できるのは一晩に1組(定員8人)だけで、1軒家を貸し切るタイプ。間取りは平屋の7DKで、寝室は和室4部屋。そのほか掘りごたつの部屋や海が見える談話室(洋室)、縁側などがある。広々としたダイニングキッチンや浴室、脱衣所は改装済みで、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、乾燥機、ドライヤー、エアコン、掃除機、無線LANを備えている。

 運営担当の種池俊朗さんは「昨年7月にレストラン『アメリカ村食堂すてぶすとん』『カナダミュージアム』と同時にレンタルスペースとしてオープンしましたが、宿泊施設としての営業許可取得に時間を要し、この度ようやくお客様をお迎えできる準備が整いました。昭和初期の古民家に洋を感じる、他では味わえない格別な滞在を提供します。家族、グループでもゆったりご利用いただけます。カナダ移民の歴史を感じる三尾の夜をぜひご堪能ください」と呼びかけている。

 料金は、平日(日~木曜)が、2人まで1泊1万5000円で3人目以降1人につき5000円。週末(金・土・祝前日)は2人まで1泊2万円で3人目以降は1人につき6000円。カナダ国籍の人は平日料金が適用される。予約、問い合わせは同NPO法人事務局℡0738―20―9015、Eメール gh-info@amerikamura.wakayama.jp

写真=カナダ移民の歴史、文化を感じつつ、くつろぎの空間になった「遊心庵」