県立医科大学は28日、同大学附属病院に9月1日付で膵臓がんに特化した治療・相談施設「膵がんセンター」を開設すると発表した。和歌山県は膵臓がんによる死亡率が全国で3番目に高く、これを抑えることを第一に、消化器内科・外科、放射線科、病理診断科など異なる専門分野の医師が連携して診断、治療に対応。全国の大学病院としては初の膵がん専門のセンターとなり、患者の家族や住民からの相談ホットライン機能も併せ持つ。

 膵臓がんは早期発見が難しく、現在でも患者の60~70%は診断時に血管への浸潤や遠隔転移がみられ、切除不能というケースが少なくない。2017年のデータでは、日本人のがんの部位別死亡数は大腸、肺、胃に次いで4番目に多く、和歌山県は北海道、富山県に次いで全国で3番目に死亡率が高い。

 和歌山県立医科大附属病院は年間平均100件、週2件のペースで膵がん切除手術を行っており、その治療・研究実績は西日本で2番目、全国でもトップレベルを誇る。今回の膵がんセンターは、消化器内科と消化器外科をはじめ、糖尿病内科、放射線科、リハビリテーション科、がん遺伝子検査外来、病理診断科などが連携して診断・治療にあたり、看護部と患者支援センターなどが相談・情報提供窓口となり、臨床研究センターや消化器内・外科、公衆衛生学講座、病理診断科などが基礎・臨床・疫学研究を行う。

 センターは膵がんの早期診断、手術治療、広報活動等のほか、新たな治療法の開発にも力を入れる。現在、取り組んでいる標準療法不応膵がんに対する樹状細胞ワクチン開発に向け、引き続き治験等を進めていく。

 病院長も務める山上裕機外科学第二講座教授は、「地域医療は各医療圏で完結するのが理想だが、治療も診断も難しい疾患はしかるべき施設に集約して対応しなければならない。その意味で膵がんはまさにその対象となる疾患であり、県立医大病院が和歌山県と泉南地域のその機能を担うべき施設となる。センターの最終目標は膵がんの克服にあるが、まずは死亡率を平均値にまで下げることを目標としたい」と述べた。

写真=膵がんセンター開設の意義を語る山上院長㊥と北野雅之消化器内科教授㊨、川井学消化器外科准教授(県立医科大附属病院で)