みなべ町の県果樹試験場うめ研究所は、梅栽培農家らの作業省力化へ向け、ICT(情報通信技術)やロボット等を取り入れた「スマート農業」の導入に向けたプロジェクトをスタートさせた。2019・20年度の2カ年で、リモコン式自走草刈り機や自走式運搬車、スマートフォンでの自動かん水システムなどの実証実験を実施。労働力不足が問題となる中、実現できれば大きな技術革命になると期待されている。

 スマート農業は、後継者問題をはじめとする労働力不足解消の一つのモデルとして全国的に導入されており、今後さまざまな農業への展開が期待されている。和歌山県はまだ遅れており、とくに盛んな果樹栽培への導入へ向けて初めて取り組むことになった。農林水産省の「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」に採択(近畿では2事業だけ)され、農家の協力を得て2年間、梅とミカンのほ場で実際に導入し、データを取って果樹栽培にも導入できるか、もしくはどのように改良すれば取り入れられるかを生産者の意見も踏まえて検証し、将来的には機械化による一貫作業体系の確立を目指す。

 実証するのは、リモコン式自走草刈り機による除草の効率化、自動かん水、自走式運搬車による果樹運搬の軽労化、パワーアシストスーツによる負担軽減、肥料散布機による施肥――で、ミカン畑ではドローンによる薬剤散布も行う。自走草刈り機や自走運搬車はラジコンのようにリモコン操作するだけ。高齢者や女性も簡単に扱うことができ、大きな作業省力化が期待できる。パワーアシストスーツは梅の選果の際、コンテナを持ち上げる際の負担軽減となり、自動かん水はスマホでスイッチのオン、オフをできるにようする。肥料散布機も作業負担の軽減が図られる。

 事業の第1弾として、9日午後1時半からみなべ町東本庄のうめ研究所で草刈り機やパワーアシストスーツの実演展示会を開く。事業の中心を担ううめ研究所の大江孝明主任研究員は、「日本一の梅の産地みなべ町でも労働力不足解消は大きな問題で、スマート農業を導入できるよう、しっかりと実証したい。まずは展示会に来ていただき、いろんな意見や提案をいただいて、今後の実証や検証の参考にしたいと思います」と話している。

 問い合わせは同研究所℡0739―74―3780。

写真=展示実演する自走式草刈り機や運搬車