2019年度市民教養講座がスタートした。第1回の講師はスポーツジャーナリストの増田明美さん。「自分という人生の長距離ランナー」をテーマに語った◆講演のクライマックスは20歳の時の途中棄権に終わったロス五輪、そして24歳の大阪国際女子マラソン。ロスから帰国後、結果を責める心ない言葉に傷つき、しばらく競技から遠ざかった。大阪では「お帰り」と温かい声も掛けられたが、また「お前の時代は終わったんや」と冷たいヤジを飛ばされ、走り続ける意欲をなくす。「ホテルへ帰ってしまおう」と歩く増田さんに追いついた市民ランナーは6人。誰一人、素通りはしなかった。「ホラ、ホラ」と手拍子で励まし、給水し、肩をポンとたたいて行き、心配そうに振り向きながら行き、6人目は「一緒に走ろう」。「その人のおかげで長居陸上競技場へ帰ってこれました。6人の皆さんには感謝です」。涙がとまらず、泣きながらゴール。30位、2時間51分台。「でも、あのマラソンが私は一番好きです」◆引退後ラジオに出ると、悲壮感のあった現役時代のイメージと明るい喋りとのギャップが面白いと人気。ラジオは母の反対を押し切っての出演だったが、「結納」を「けつのう」と読んだ時に実家へ電話して「お父ちゃん、やっちゃったよ」というと「大変だよ、お母ちゃん寝込んじゃったよ(笑)」。反省したが、その後も門松を「もんまつ」と読むなどして有名に。逆に自分からネタにしていくと、より人気が出た◆座右の銘は「知・好・楽(ち・こう・らく)」。それを知っているだけの人よりもそれを好きな人、ただ好きな人よりそれを楽しんでいる人が結果を出す。心から楽しむこと。それのできる人が一番強い。つらい経験をも笑顔を見せながら話す増田さんの姿は、大きく見えた。(里)


