美浜町担当になりもうすぐ2カ月。この間、取材で何度となく訪れた「松てるわ広場」。吉原公園南側の松林に整備された施設で、ガラス張りの建物「ガラスボックス」が2棟備えられ、厨房付きの産品コーナーと多目的室になっている。用途に合わせ、どちらかを会場に、様々なイベントが開催され、建物内だけでなく、広場全体を活用し、昆虫採集やライブイベント、マルシェなども開かれる今一番ホットな場所の1つ。

 6月に入り開催されているビアガーデンにも、取材ではなく客としてお邪魔した。オープンから30分ほど経った会場に到着すると客席はすでに満席。しばらく待って席を確保し、徐々に日が暮れていく松林をビール片手に満喫した。周囲の客席も、自然の風を感じながら、仲間同士とりとめのない会話を交わし、笑顔があふれる素敵な空間だった。

 筆者の個人的な松林の思い出は、高校時代所属した陸上部の練習場所で松林の遊歩道をひたすら走る苦しいもの。しかし、今思えば、暑い日差しを避けて練習できる最高の場所だった。筆者だけでなく、町を守る町民の宝「松林」はその雄大さから、あらゆる人を受け入れ親しまれてきた。同広場もイベントがない日でも親子連れらが集う場になっている。町内の子育て中の友人もよく訪れているが、整備される以前はうっそうとした雰囲気で近寄り難かったという。それでも整備には反対の声もあったとのこと。それはやはり松林を大切に思うからこその意見なのだろう。

 地方創生事業でできた同広場は、来年度からは税金に頼らず収益を上げ自立した運営が求められている。町民の大切なものから作られ、人が集い、笑顔があふれる場が、今後どう進化するのか、期待せずにはいられない。(陽)