先日、ある取材で警護の人が寄ってきて「名刺をいただけますか」というので渡した。日高新報の腕章はしていたが、防犯上、どこのだれかを確認するためだろう。しかも休日取材の筆者は私服に帽子、マスクという、とても怪しい格好。素性を確認されるのは当然と言えば当然である。

 当然と言えば、社会人のマナーとして、名刺を渡されれば、逆に自分の名刺を差し出すのもまた当たり前。その警護の人は名刺をくれそうになかったので「お名刺いただけますか」と言ったところ、「いま持っていなくて」と丁寧に謝り、名乗ってくれた。要人警備の人は時には生命の危険もあるだろうから、名前はあまり言えないのかもしれない。この場合、こちらが名刺を求めるものではないのだろうか。

 長年記者をやっていろんなところを担当させてもらっているが、行政を回っていると、こちらが名刺を差し出せばきちんと名刺を交換してくれる人がほとんどだが、中には全く名刺を出す気配のない人もいる。一応新しく会う人の名前は覚えたいので、こちから求めると出してくれるからいいのだが、何か違和感を感じる。

 これが民間会社の社員ならどうか。こちらが名刺を出しているのに、名刺を出さないというのは失礼だという印象を与え、その人が信用を得るのは難しくなるかもしれない。営業マンなら、名刺を忘れたとか、いま切らしているといったこともアウトだろう。それだけ民間では人と人との関係にシビア。「名刺ぐらいのことで」と言われるかもしれないが、こういったことへの配慮や意識の持ち方が、住民サービスの違いにもつながるのではないだろうか。(吉)