県が日高、由良、広川の3町を対象エリアに県内で初めて実施した、「GPS首輪」を活用したニホンザル行動域調査の結果報告会が26日、日高町役場で開かれた。それによると、日高町内に261匹というニホンザルでは最大級の群れが存在することが判明。原因は放任果樹園の増加に伴い餌が豊富にあることで、対策が急務となっている。

 今回の調査は、サルの農作物被害が深刻な3町で効率的な捕獲につなげようと、モデル的に実施。それぞれの地域でサルを捕獲して、GPS(全地球測位システム)の機能が付いた首輪を装着。再び山に放ったうえで位置情報を確認し、行動範囲や群れの数などを調べた。県職員が調査したほか、㈱野生動物保護管理事務所にも委託して実施。県職員の調査では日高と由良の2町で昨年6月、それぞれ1匹ずつ捕獲してGPS首輪を取り付けたが、由良町は何らかの原因で電波を受信できなくなり、日高町もバッテリーの不具合で11月までの計測。行動域調査の結果、日高町の東は国道42号付近、西は海岸線まで広範囲に群れが移動していることが分かったが、詳細な個体数まで分からなかった。

 一方、同事務所の調査では、昨年7月に由良町、ことし2月に日高町でそれぞれ1匹ずつを捕獲して調査開始したが、由良は首輪が脱落したとみられ調査不能。日高町の方は3月まで調査し、サルの行動域は県職員の調査とほぼ同じであることが分かった。行動域を基に移動場所を予測して行う個体数調査には、ビデオカメラ5台を使い、人の目視でも確認。幅400㍍にわたって移動する261匹の巨大な群れがあることが判明。一般的に100匹を超えると群れは分裂するとされるが、大きな群れのままいることもある。また、推察されるメスザルの出産率は62%。これは餌が豊富にある人工的なサル山並み。日高町内に放任されたハッサクや甘夏など晩柑類の果樹園があることや出荷できない農作物の放棄などで、サルにとって絶好の餌場となっていることがうかがえる。このため、サルの群れは町内から出ることがなく、逆に巨大な群れがいるため町外から別の群れが入ってくることもないという。

 報告会には農業や狩猟の関係者ら16人が出席。県農業環境・鳥獣害対策室が調査結果を報告し、「放任果樹園の改善、防護柵の設置などの環境改善が必要」と訴えた。