日高町原谷地区特産のコンニャク「原こん」が、夏にも生産、販売が打ち切られることが分かった。コンニャク用の生イモを100%使用した、弾力ある食感が人気の手作り商品だったが、販売拠点の原谷産品販売所「黒竹の里ぴかいち」が昨年9月の台風21号で倒壊。生産メンバーの減少や技術継承の難しさもあり、現在ストックしているイモがなくなりしだい、販売を終了する。

 原谷のコンニャクはかつて地元農業者が石灰を使って製造していた家庭用の手作り食品。地元の鍵本商店が販売し、「原こん」で商標登録も取得していた。鍵本商店は閉店したが、地元の主婦5人が手作りして、15年ほど前から黒竹の里ぴかいちで「生芋ぴかいちこんにゃく」の名称で販売。いまではこれがいわゆる「原こん」として通っている。独特のしこしこした歯応えがあり、適度な気泡が入っているため、だしの味が染みやすいのが特長。スライスして刺し身で食べてもおいしい。

 生産は昔ながらの方法で、コンニャクイモをゆでてミキサーにかけたあと、あく(食料用の石灰)を入れてかき混ぜ、木枠へ流し込み、へらで一定の大きさにカット。再びゆでて完成となる。途中で水を入れて絶妙な硬さに調整しつつも、こね過ぎて表面がツルツルになるといけないなど、長年の経験と勘がものを言う難しい作業もある。

 現在、生産に携わっているのは楠淳美さん、岩﨑要子さん、鍵本より子さんの3人だけ。かつては地元で栽培、収穫したイモを使っていたが、イノシシ被害などがひどくいまでは栽培しておらず、10年ほど前からは群馬県から年間約300㌔分を仕入れ。各家庭での正月料理として使われることが多いため、毎年12月が生産のピークとなっている。イモは冷凍で長期保存が可能。昨年仕入れた分がまだ残っており、今後も売れ行きをみながら生産。夏にも在庫がなくなる見通しで、その時点で生産を中止する。

 生産者の3人は「長年のコンニャク作りを止めてしまうのは寂しい気持ちもあります。でもいまでは若い人も作らないし、生産技術を引き継ぐのも難しいので仕方ありません」と話している。

 町内外の原こんファンからは惜しむ声もあり、町教育委員会でも「ことし1月には県のおやじプロジェクトの一環で親子連れに原こん作りを体験してもらい好評だった。何かこういった体験教室のような形で原こん作りの技術の保存、継承ができればいいのだが…」と話している。

 現在、原こんは町営温泉館「海の里 みちしおの湯」とJA紀州さわやか日高で販売している。

写真=大鍋でゆでればコンニャクが完成