県の文化向上や発展に貢献した個人、団体に贈られる県文化表彰の表彰式が1月31日、県庁であり、かつらぎ町出身の俳優小林稔侍さん(77)=東京都=ら6人と1団体に、仁坂吉伸知事から表彰状などが贈られた。小林さんは「これを糧に1分1秒でも長生きしたい。きょうはうれしい日です。生涯忘れられません」と喜びを表した。

 本年度は小林さんが文化賞に選ばれたほか、文化功労賞に有田市出身の音楽プロデューサー酒井政利さん(83)=東京都=、田辺市のノンフィクション作家佐山和夫さん(82)、海南市のアマチュア音楽家向山精二さん(72)の3人。文化奨励賞に和歌山市の長唄三味線奏者杵屋多佳(本名=片岡明子)さん(66)、和歌山市出身の生物学者細将貴さん(38)=東京都=、民俗芸能伝承の「那智の扇祭り保存会」(那智勝浦町)の2人と1団体が選ばれた。

 小林さんは表彰後の記者会見で、戦後の食糧難の経験から夢と食を求めていたという上京の経緯を説明し、「心温まる賞を頂きうれしさには違いないが、芸術に対する志が低いという後ろめたさもある」と話し、「小さなことを努力していれば誰かが見てくれている。それにすがりながらコツコツしてきた俳優」と自身を表現した。 

写真=「小さなことをコツコツ努力してきた」と小林さん