由良町は、ことし9月の台風21号で甚大な被害を受け閉鎖している、大引の白崎海洋公園の完全復旧を断念し、活用方法を見直す方針を固めたことが、15日までに分かった。

 台風21号では暴風と高波の影響でクラブハウスやログハウス、パークセンターに被害が出た。特に被害の大きいクラブハウスは2階建ての施設で、ダイビングの資格取得や体験ができる温度調整機能付きのプールがあったほか、ことし4月には漁農レストランがオープンしていたが、高波で浸水し、機械や電気設備が故障、ガラスが割れるなどした。同公園は1996年にオープンし、98年の台風7号で3億2000万円、2004年の台風23号で2億7600万円の被害が出た時には復旧させてきた。いずれも災害保険で2分の1は補てんされたが、3度目の予算投入は厳しいことから苦渋の決断。復旧費がかさむプールに関係する機械設備などの復旧は行わず、今後のクラブハウスでのダイビング事業を断念。ただ、施設自体は一部修繕すれば利用可能なことから、町と大学のふるさと協定を締結している摂南大学(大阪府寝屋川市)などのアイデアを借りながら、何か地域に経済効果をもたらすような事業を検討していく。

 これまで物産販売を行っていたパークセンターは比較的被害が少ないため、復旧させて引き続き来年1月にも業務を再開させる方針。宿泊施設のログハウスについても復旧させ、来年4月からの再オープンを考えている。ことし4月から同公園の指定管理者となっている㈱マレア・クリエイト(本社=東京都、鳥居敏代表取締役)からは事業撤退の申し入れがあり、町は契約を解除する方向で協議している。 

 畑中雅央町長は「白崎海洋公園の完全復旧は断念したが、新たな方向で今後もまちの観光拠点として活用していきたい。周辺海域でのダイビングは今後もできるようにしたい」と話している。

写真=台風被害を受けたクラブハウス(写真奥)の周辺