「裁判の差し止め費用を送れ」とうその電話をかけ、御坊市の男性から現金をだまし取ろうとしたとして、御坊署と県警本部捜査二課は合同で28日、住所不定の男を詐欺未遂の疑いで逮捕した。特殊詐欺に対する「だまされたふり作戦」を実施し、東京都内で荷物の受け取り場所に現れた男を確保。組織ぐるみの犯罪とみて、さらに捜査を進めている。

 逮捕されたのは自称飲食店店員の男(32)。調べによると、男は別の犯人と共謀し、9月26日午後7時ごろ、御坊市内の50代男性に「裁判の差し止め費用として宅配小包で現金を送れ」と電話し、700万円をだまし取ろうとした疑い。男性からの届け出を受け、だまされたふり作戦を展開。28日午後9時14分ごろ、荷物の受け取り場所だった東京・赤坂の路上に現れた男を、付近に張り込んでいた捜査員が現行犯で取り押えた。

 一方、御坊市の男性は「裁判を起こされている」といううそのメールが送られてきたことをきっかけに、電話で指示された通り宅配小包で8月6日に現金4万円、9月10日に385万円をだまし取られ、その後も要求があり、不審に思って21日に御坊署へ相談。詐欺だと分かった。

 男は容疑について「何のことか分かりません」と否認しているという。警察は電話の声が複数だったことから、組織ぐるみの犯行とみて捜査している。

 御坊署管内ことし初の特殊詐欺被害。同署は「不審なメールやはがきが届いても電話せず、すぐに警察へ相談してください」と注意を呼びかけている。