日本、中国、韓国の世界農業遺産認定地域の関係者が集う第5回東アジア農業遺産学会が27日にみなべ町の宿泊施設「ホテル&リゾーツ和歌山みなべ」で開幕。初日には国内外から約400人(国内約200人、海外約200人)が訪れ、基調講演やシンポジウムなどで世界農業遺産の重要性や課題などについて情報を交換した。

 同学会は2014年から始まり、中国、日本、韓国の順で年1回持ち回りで開催されている国際会議。国内での開催は3年前の新潟県佐渡市に続いて2カ所目となる。

 開会式では小谷芳正町長が歓迎のあいさつを行い、「1次産業従事者の高齢化、高齢者不足、鳥獣害問題など産地を維持・継承していくために大きな課題に直面している。認定地域としての誇りを醸成、重要性を認識して持続的な取り組みを促進し、活性化を図っていかなければならない」とし、仁坂吉伸知事も「世界農業遺産の認定で地球や人類の農業の発展にとって改めて大事なものであったということを知ることができた。今後も守り育て、世界中に意義を広めていかなければならない」と述べた。

 基調講演では国際連合食糧農業機関(FAO)GIAHSの遠藤芳英事務局長が「GIAHSをめぐる最近の動向」のテーマで語った。「昨年11月にはスペインで欧州初となる2つの認定地域が誕生した。18年にはイタリアとポルトガルでも認定地が生まれ、現在21カ国で52の認定地となっている」などと紹介した上で、世界農業遺産に関連したスペイン研修会(18年2月)、スローフード展示会(18年9月)などの活動内容を報告。「地球規模の課題として気象変動などが取り上げられているが、世界的な問題にどう貢献するかが求められている」と述べた。伝統的な知識をきちんと文書化する必要性についても訴えた。「FAO GIAHS SAG」の閔慶文(ミン・チンゲン)副議長も「アドバイザリーグループの取り組み」、東アジア農業遺産学会の武内和彦名誉議長も「GIAHSとパートナーシップ」と題して講演した。

 このあと、3カ国で認定を受けている地域などがそれぞれの取り組みを紹介するポスターセッション、シンポジウムなどが行われ、関係者らが情報を共有して交流を深めた。28日には県果樹試験場うめ研究所、うめ振興館、紀州石神田辺梅林、紀州備長炭記念公園などを視察、29日にはテーマ別セッションなどが行われる。

 みなべ・田辺の梅システムは養分に乏しく礫質で崩れやすい斜面を利用して薪炭林を残して梅林を配置し、400年にわたって高品質な梅を持続的に生産してきた農業システム。2015年12月に国連食糧農業機関(FAO)から認定された。

写真=遠藤事務局長が基調講演