「いまどきの若者は…」というのはよく聞く言葉。中高年が10代や20代の若者の言動に対し、「社会性が欠如している」、「物事に対する考えが自己中心的だ」などと嘆く時に使われる言葉だ。「このフレーズはいつの時代から始まったか」とネットで調べていると、紀元前にも同じような意味合いのことがあったという。いつの時代も中高年の若者に対する見方はあまり変わっていないのかもしれない▼では、本当に最近の若者はそんなひどい体たらくなのか。筆者も50歳となり、立派な中高年の一員。時々若者とちょっと感覚が違うのではないかと感じることも確かにあるが、言われている社会における礼儀作法などの欠如については、年齢とともにきちんと身についてくるだろうし、自己中心的ということについても良い意味で考えると自己主張ができるようになったということの裏返しでもある▼半面、スポーツの世界ではいまの若者の活躍が目覚ましい。先のワールドカップでも、強豪相手に堂々とした試合でベスト16入りを果たした。ワールドカップ出場が目標だった頃と比べると、ずいぶんと進歩したといえる。野球でもロサンゼルス・エンゼルスでプレーしている大谷翔平選手はアメリカでも二刀流で活躍し、世界から脚光を浴びている。甲子園では高校生球児が感動を与えているほか、サッカーや陸上など各種競技でも熱戦を展開。日高地方出身の子どもたちが全国や近畿などの大きな舞台で活躍している様子も連日、紙面を通じて紹介されている▼東京医科大学による入試得点操作問題、日本ボクシング連盟の不正疑惑など、大人が起こす問題の報道が後を絶たない。「いまどきの若者は」と批判していると、「中高年はこれだから」と言われてしまう。(雄)