県内中小企業の取引条件を改善するため、県は23日、経済産業省と連携協定を結んだ。両者が協力し、県内企業に取引実態の聞き取り調査を実施し、情報共有することで商慣行の是正や取引改善に向けた取り組みを促進する。下請取引条件の改善に向けた国と地方自治体の連携は全国初。 県商工観光労働総務課によると、大企業の利益が増加傾向にある一方、下請けの中小企業は低迷が続く状況。背景には、不合理な原価低減要請や原材料費などのコスト上昇分を踏まえた価格転嫁ができないなど不利な現状があるとして、仁坂吉伸知事が世耕弘成大臣に中小企業の取引条件の改善を要望し、協定が実現した。

 協定の内容は、中小企業庁に設置された全国の下請企業の実態を調査する「下請Gメン」の研修を受けた県の職員が経産省と連携し、県内の企業を訪問。聞き取り調査の結果を踏まえ、必要に応じて経産省や中小企業庁で不合理な取引慣行の是正を行い、場合によっては下請法に基づいた調査などにつなげる。

 締結式は和歌山市のホテルアバローム紀の国で行われ、仁坂知事、世耕大臣、各経済団体の代表らも出席。世耕大臣は「適正化は産業競争力の強化に欠かせない。経産省としても県と結んだ協定をしっかりと実行に移す。下請け中小企業の具体的な取引状況の改善につなげるモデルとして、今後は県外へも広げていきたい」と述べ、仁坂知事は「地方の中小企業は調達価格を上げてもらわないと業績は良くならず、問題解決の道が開けたのはありがたい。こういう大きな動きが各地に広がれば、日本経済はもっと強くなるのではないか」と期待を寄せた。

写真=協定書を手に仁坂知事㊨と世耕大臣