インテックス大阪で先日2日間だけ開催された「防犯防災総合展」を見学した。とくに防災では、さまざまな企業がオリジナルの技術を生かした設備やグッズを出展しており、いい勉強になった。地震の揺れから身を守る設備として、居間や寝室の中に一回り小さい部屋を作る「耐震シェルター」、非常食も袋を開ければ食べられるカレーなど、クオリティーは日に日に上がっていることを感じさせられた。中でも多く目についたのがトイレ。個人の携帯トイレから、普段は備蓄タンクとして活用し、災害時はし尿タンクにする大規模トイレなど、さまざまな種類が展示されていた。避難所生活でのトイレの重要性をうかがわせた。
 東日本大震災では、仮設トイレが3日以内に設置された自治体は全体の3分の1。8日から2週間は28%、最長で65日かかった自治体もあった。設置してもすぐに詰まる、道路の封鎖でくみ取りが出来ないなどで使えず、臭い、汚い、プライバシーがないなどの問題が起こり、飲食を控える人が体力や免疫力の低下によって健康被害、最悪の場合は災害関連死につながるケースもあった。避難所経験のない筆者は、どうしても食糧の確保が頭に浮かぶが、トイレの大切さを痛感させられる防災展であった。
 日高地方の各自治体もトイレの確保へ協定等を結び、体制を整えつつあるが、災害の規模によってはスムーズにいくとは限らない。各自治体は避難所となる施設に携帯トイレを備蓄することも必要だろう。住民もしっかりと意識しておくことが大切。避難訓練で避難所に集まった際、携帯トイレをどこで、どのように使うか、住民同士で話し合うことから始めよう。(片)