御坊市名田町上野のイタリア料理店「ペンション ヒラオカ」で20日、イタリアスタイルのワイン試飲会が開かれ、スペシャルゲストにアジア人として初めてイタリアの最高ソムリエに選出された林基就(もとつぐ)氏(43)が登場。県内各地から大勢のワイン愛好家が集まり、林氏のサーブとトークで約20種類のイタリア産ワインの味と香りを堪能した。
 同店の店頭ワインショップ「サルーテ」の主催イベント。ゲストの林氏は名古屋市出身で、25歳のときにイタリアへ渡り、有名レストランで修業の傍ら、各地方のワイナリーを訪ね歩いてソムリエとしての腕を磨いた。イタリアで最も長くミシュランガイドの三ツ星を獲得しているレストランでチーフソムリエを務め、2009年にはアジア人として初めて、エスプレッソ社のレストランガイドブック(10年版)が年間最優秀ソムリエに選出。12年にはイタリア国際ワインアワード「オスカー・デル・ヴィーノ」で最優秀ソムリエ賞を獲得した。その後、ワイン輸入・販売会社を設立し、現在はイタリア事務所のあるミラノで生活しながら、高品質なワインの買い付けに奔走している。
 ヒラオカのコック兼ソムリエで、サルーテの志賀量太オーナー(32)は、鍋料理が有名な魚のクエとも相性がよく、同じ名前のシチリアの白ワイン「クエ」をきっかけに林氏とつながりができ、今回、林氏の一時帰国に合わせて試飲会への参加を打診、快諾を得た。林氏が和歌山県内の試飲会に参加するのは今回が初めて。この日はヒラオカの常連客らが入れ替わり、延べ約80人が訪れた。
 林氏は、地方ごとに多種多様な郷土料理があり、全土で2000種を超えるブドウが栽培されているイタリアの魅力、無数の料理に合わせてワインを選ぶソムリエの仕事のやりがいを語り、自らセレクトした18種類の味と香りの特徴を説明。質問にも笑顔で丁寧に答え、客はイタリアナンバーワンソムリエの直接サーブでテイスティングを楽しんだ。