第2次世界大戦末期に田辺市龍神村殿原に墜落した米軍大型爆撃機「B29」搭乗兵の冥福を祈る慰霊祭が5日、同地区の大惣明神近くの慰霊碑前で行われ、住民ら約100人が手を合わせた。地元の深瀬松視区長(71)は「二度と戦争が起きず、平和な日々が続きますように」とあいさつした。
 1945年5月5日午前11時ごろ、搭乗兵11人を乗せたB29と日本の戦闘機が龍神村殿原の通称「西の谷」上空で空中戦を展開し、B29が撃ち落とされた。乗組員7人が墜落時に亡くなり、残り4人はパラシュートで脱出したが、捕虜として捕らえられ3人が処刑(1人は不明)された。戦時中だったにもかかわらず、地元住民は亡くなった米兵を埋葬し、供養する卒塔婆と十字架を建てた。同年6月9日に仏式で慰霊の供養を営み、その後も毎年慰霊祭が行われている。47年12月には慰霊碑を建立。慰霊碑は災害などによって数回移転し、93年に現在の惣大明神の隣接地に移った。
 慰霊祭は今回で74回目。地元住民をはじめ市内外から約100人が参加し、仏式とキリスト教式で行われた。大應寺(同村東)の松本周和住職(70)が読経、カトリック教会のジョー・ブロデリック神父(73)が祈りをささげ、全員で聖歌をうたった。
 深瀬区長は「戦争のない平和な世界が続くようにと慰霊祭を続けている」とあいさつし、語り部の古久保真介さん(55)が「殿原区では高齢化が進んでいるが、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和への思いを後世に伝えなければならない」と述べた。会場近くでフキやシイタケなどの山菜も販売された。
 B29墜落については、地元の古久保健さん(80)が史実の研究に努め、2005年に経緯などをつづった「轟音」を出版。10年には映画「轟音」を制作し、13年にはアメリカへ遺族を訪問などしている。