県立医科大学は4日、内視鏡を併用しながら行う甲状腺摘出手術を関西で初めて行い、順調な成果を挙げていることを発表した。
 甲状腺は首の前部、喉仏の下にあり、新陳代謝をつかさどる甲状腺ホルモンをつくり、調整する。病気は男性よりも女性に多く、主なものでは何らかの原因で甲状腺が肥大し、ホルモンが過剰に分泌される甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や甲状腺機能が低下する橋本病、良性・悪性の腫瘍などがある。
 甲状腺の肥大や腫瘍の場合、手術で甲状腺を切除したり腫瘍を取り除くケースもあるが、首に4~8㌢の横長の傷が残るため、女性患者にとっては甲状腺や腫瘍の完全な摘出とともに、傷痕をなるべく目立たないようにすることが課題となっている。
 県立医科大附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の保富宗城教授らのチームは昨年1月から、保険適用となる悪性腫瘍の患者に対し、鎖骨の下を2・5㌢ほど切開して皮膚を吊り上げ、甲状腺の横にわずか5㍉の穴を開けて高解像度の内視鏡を挿入し、内視鏡の映像を見ながら鎖骨の下から器具を入れて行う手術(VANS=Video-Assisted Neck Surgery)を実施。現在までに22例行い、目立つ傷が残った人や経過が悪い人は1人もいないという。
 保富教授とともに記者会見した平岡政信助教は、「この新しいVANS法は皮膚を大きく切らないため、手術時間が従来の術式よりも長くなるのが唯一の難点だが、特に患者に負担はなく、順調な成果を挙げている。傷痕がほとんど分からないだけでなく、声帯を動かす神経やカルシウムを調節する副甲状腺の機能温存にも有効」とし、将来は「頸部リンパ節転移のない10㍉以下の乳頭がんやCTで容量60㍉以下のバセドウ病にも応用できるだろう」と見通しを示した。