日本統治時代の台湾で農業水利事業を指揮した八田與一の功績を多くの人に知ってもらおうと、御坊日台友好協会(古山隆生代表)が毎年行っている台湾の中学生との交流事業で、ことしは初めて、台湾から学生を受け入れる。女子生徒2人で、きょう3日から7日まで来日。日高地方での民泊、中学校での授業体験などが予定されており、中学生同士の交流で日本と台湾の友好が一層深まると期待されている。
 同協会では2016年から日高地方の中学生を対象に八田與一(1886~1942年、石川県出身)についての感想文を募集し、優秀者を台湾スタディーツアーに招待。昨年、一昨年とも中学生2人ずつが台湾の歴史や文化を学び、台南市の官田区国民中学校で授業に参加するなど現地の同世代と交流を行った。ことしは相互交流の第1弾として、中学生を受け入れて日本の文化に触れ、生徒と交流してもらうことにした。
 来日するのは、八田與一についての作文を書いて選抜された官田区国民中学校の胡琇婷さん(14)と張綵 さん(14)の生徒2人と引率の教員1人。3日夕方に関空に到着し、印南かえるの宿のメンバー宅で民泊。4日は御坊寺内町や湯浅町の町並みなどを散策し、5日は御坊市の田端美鈴さんの指導でお茶と生け花を体験する。メインの交流は6日で、昨年の台湾スタディーツアーに参加した生徒がいる日高川町丹生中学校を訪問。3~5限の授業を受け、給食も一緒に食べる。滞在中は古山さんが案内役となり、温泉入浴、浴衣体験、外国では見ることができない「無人販売」なども見てもらい、日本への理解を深めてもらうことにしている。古山さんは「初年度から2年間はこちらから台湾を訪問していましたが、ことしは初めて日本に来てもらいます。日本と台湾の相互交流のきっかけとなり、これから学校単位、地域単位に広がってほしいと願っています。交流をきっかけに八田與一についても知ってもらいたい」と話している。
 土木技師の八田與一は、台南市の烏山頭ダム(1930年完成)や約15万㌶に張り巡らせた水路工事を指揮。不毛地帯を大水田地帯にした偉業は現地でもたたえられており、銅像も建立されている。