認知症支援の優れた取り組みを表彰しようとNHK厚生文化事業団が創設した「認知症にやさしいまち大賞」が発表され、御坊市の「ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト」が選ばれた。認知症の男性の支援をきっかけに地域のつながりが復活した活動や、スターチスを認知症支援のシンボルにする花カード作りなど認知症の本人が活躍し、支援の輪が地域に広がっていることが評価された。
全国から53団体の応募があり、大賞5団体、特別賞2団体が選ばれた。表彰式は2月18日に東京・千代田区のベルサール神保町アネックスで行われる。
ごぼう総活躍プロジェクトは、地方創生事業の一つで、認知症にやさしいまちを地域づくりの柱として産官民学一体となって2016年度から取り組んでいる。
中心となっているのは、居宅介護支援事業所中紀管理者の志水建一さん、日高博愛園介護係長の湯川光永さん、御坊市介護福祉課副主任の谷口泰之さん、市企画課主事の狩谷晃司さんの4人。介護する側される側、誰もが活躍できるまちづくりを目指している。
今回特に評価されたのは、認知症本人の西山昭二郎さん(90)=藤田町藤井=の支援から始まった地域づくりと、スターチスをシンボルにした地域ぐるみの取り組み。
西山さんの支援は2016年2月、妻アサヱさん(86)から要介護認定の申請があり「一人で介護は無理。地域の人に夫が認知症であることを知ってもらいたい」と相談があったのをきっかけにスタート。志水さんらが中心となって地域住民に声をかけて集まってもらい、認知症であることを報告すると、「他人事ではない」「集まる機会がなくなっていたので今日は楽しかった」との声が上がったことから、毎月1回集まって気軽に話し合う「むつみ会」が発足。現在も続いているほか、むつみ会を見本として北吉田の有志が「ごぼう軽井沢の会」を作って毎月1回、認知症や障害のある人らが集まっており、西山さんの支援から認知症にやさしいまちづくりが広がっている。
スターチスの取り組みは、花言葉が「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」であることに着目。日高博愛園が中心となり、認知症本人がスターチスを収穫したり、メッセージ付きの花カードを製作して全国にPR。周辺の幼稚園、小学校、中学校、和歌山高専とも連携を深める取り組みを続けている。
地域にも支援の輪が広がっていること、行政主導ではなく認知症本人が活躍し、地域住民が主役になっている点が高く評価された。志水さんは「認知症であっても本人に変わりはない。地域づくりは一人の支援からでも始められることをあらためて教わりました」、湯川さんは「誰にもやさしいまちづくりへ事業所間の連携を今後も続けていきたい」と受賞を機に一層地域づくりに取り組むと強調。狩谷さんは「時代に合ったまちづくりを形にしてくれて皆さんに感謝」、谷口さんは「全国の先進地と肩を並べて大賞に選ばれ、びっくりしています。今後も行政主導ではなく『本人が主役』の取り組みをしていきたい」と話している。

