御坊市の紀州鉄道は、昨年の脱線事故からちょうど1年となった22日、「安全の日」として中川源行代表取締役らが乗客に啓発物資を手渡し、事故防止への決意を新たにした。
 事故は湯川町小松原地内、北裏病院西にある湯川第2踏切南側で発生。JR御坊駅発西御坊駅行きの車両が線路から脱輪した。幸いけが人はなかった。同鉄道は事故を教訓にことしから1月22日を「紀州鉄道安全の日」に制定した。
 中川代表や社員がJR御坊駅の同鉄道0番ホームに立ち、「今後もより一層安全な運行を志し、皆さまと共に歩んでいけるよう努めていきます」と記したあいさつ文を添えてカイロを配布した。このあと小竹八幡神社での安全祈願、午後からは市消防本部の指導で救急救命講習も受講。今週中は沿線の清掃活動も実施する。
 中川代表は「脱線事故でご迷惑をかけたこと、社員一丸となって復旧させた気持ちを風化させないために安全の日としました。脱線の原因となった枕木の老朽化を防ぐためのコンクリート化を今後も進めていきたい」と再発防止を誓った上で、「昭和40年に年間100万人超だった利用客はいま、11万人に減少している。人口減の中、観光客増に向けて地元の商店や企業との連携も始めています。今後も地域に親しまれる鉄道として、地域の活性化にも貢献できるよう努めていきたい」と話している。