総合進学塾、英数スタディー(御坊市藤田町藤井)で現代文・古文・英語の講師を務める傍ら小説を執筆している林晋作さん(43)=御坊市野口=は、第11回北九州文学協会文学賞で山下敏克特別賞を受賞した。初代会長の名を冠した、大賞に次ぐ賞。受賞作品は江戸時代の大坂を舞台とした「守銭奴」で、「これからも一層精進したいです」と今後の創作に意欲を燃やしている。
北九州文学協会文学賞は小説、エッセー、詩、短歌、俳句、川柳の6部門があり、小説部門には57点が応募。大賞、山下敏克特別賞、優秀賞、佳作各1点の計4点が受賞した。表彰式は3月18日、北九州市立文学館で行われる。
林さんは20年ほど前から小説を執筆しており、6年前には第14回長塚節文学賞で時代小説「おもんの錐(きり)」が佳作入賞した。今回の受賞作は、江戸時代の大坂を舞台とする「守銭奴」。主人公は小金をコツコツためこむことだけを生きがいにしてきた老女お徳。年の離れた妹一家がその財産を狙っており、お徳は「自分で使った方がまし」だと大枚をはたいて立派すぎる自分の墓を築くが...。原稿用紙30枚分の短編で、意外な人物がお徳亡きあとの財産を手にするという結末。短い中にお徳の人間像や過酷な人生もじっくり描かれ、読みごたえある一編となっている。
林さんは「前回の受賞作より完成度は上がったと思うのですが、まさか受賞できるとは思っていませんでした。北九州市は歴史作家の葉室麟、芥川賞作家の平野啓一郎ら多くの作家を輩出してきたいわば文学のメッカ。私の最も好きな作家松本清張が幼少期を過ごした地でもあり、表彰式会場の文学館はこれまで何度か訪れた清張記念館の隣にあります。その地の文学賞を受賞できたことが何よりうれしいです」と喜びを話している。今後について「進学塾の講師と執筆を両立させることには苦労もありますが、前回の長塚節文学賞に続いてまた一つ結果を出せたことをうれしく思います。小説は趣味ではなくライフワークとして取り組んでおり、この先の道のりは平坦ではないと思っています。一層精進していくつもりです」と意欲的に話している。
俳句でも全国入賞しており、昨年は芭蕉翁献詠俳句、千代女全国俳句大会で入選。短歌では、小説誌「オール讀物」の短歌欄で最高の天賞を受賞している。

