みなべ町山内の千里の浜に上陸するアカウミガメについて考える「ウミガメシンポジウム」が14日、生涯学習センターで開かれ、住民ら約30人が参加。NPO法人日本ウミガメ協議会の松沢慶将会長(48)が基調講演を行い、「ウミガメは絶滅危惧種だが、地域のカメを守ろうとする〝カメ仙人〟も危機。しかしみなべでは、地域の若者たちに保全活動がしっかり継承されている」と述べた。
 松沢さんは1988年、京都大学農学部に入学。学生時代には南極行きを志したこともあるという。91年から千里の浜のウミガメ調査に参加し、ウミガメ研究で博士号を取得した。2017年には国際ウミガメ学会の会長にも就任した。
 講演ではウミガメの研究を始めたきっかけなどを話し、日本で行われてきたウミガメの保護活動について説明。「ウミガメが絶滅危惧種になったのは、海外で食用などとして乱獲されたのが要因。保護活動については、日本では世界に先駆けて行われ、小笠原では1910年から世界で初めて実施された。これはアメリカで始まった58年より48年も前になる。当時、全国的に小中学校が率先して取り組み、文化財行政が支援する形だった」と紹介した。しかし、現在の国際的な保護貢献度ランキングでは日本がワースト1にランキングされており、「このランキングを覆すことが、研究への大きなモチベーションの1つになっている」と述べた。
 千里の浜については「浜は開発されず、背後地に奇跡的に自然の姿が残っている。梅という強い地場産業があったからこそ、宅地開発やリゾートなどの観光に力を入れてこなかった」と状況を分析し、「全国の他の産卵地では、地場産業がないうえボランティアで保全を行ってくれる人手も不足している状態」と指摘した。最後に「ウミガメの絶滅が危惧されているが、保全活動を行う地元の〝カメ仙人〟も少なくなっている。しかしみなべでは、1980年ごろから保全調査を行ってきた後藤清さんの活動を受け継ぐ若い世代が準備されていて心強い」と締めくくった。
 このほかみなべ町のウミガメ保護活動の紹介も行われ、環境省田辺自然保護官事務所の髙橋優人さんが吉野熊野国立自然公園に中にある千里の浜の位置づけについて説明。みなべウミガメ研究班の尾田賢治会長は活動を紹介し、「いまのきれいな千里の浜を子や孫に引き継いでいけるようにしたい」と述べた。みなべ町教育委員会でウミガメを担当している前田一樹さんも行政の取り組みなどを紹介した。