先日開かれた和高専・次世代テクノサロン(和高専など主催)で、自然エネルギー事業などを手掛ける㈱エイワット(堺市)の出原敬介事業推進室ディレクターから「スマートコミュニティ実現に向けた取り組み」について聴いた。
 出原ディレクターの話で印象的だったのは、小型センサーが入った錠剤が11月に米食品医薬品局から承認されたということだ。サロンでは詳しい説明はなかったので、インターネットで詳細について調べてみた。承認されたのは、大塚製薬が製造・販売する統合失調症などの薬に、米国企業が開発した約3㍉のセンサーを組み込んだ錠剤と、貼り付け型の検出器。医薬品と医療機器を一体化した製品の承認は世界初とのこと。
 患者が飲んだ薬が胃に入ると、胃液に反応してセンサーが信号を出し、患者の脇腹につけた小型装置が信号を検出。薬をいつ飲んだかという情報が医師や家族らのスマートフォンなどに転送される仕組みとのこと。センサーは一定の時間がたてば排泄されるという。利用にはもちろん患者の同意が必要だ。
 さらにデジタル錠剤では飲んだ時間だけでなく、健康状態も知ることができるので、薬の効果が最大限に発揮できる処方にも活用可能。海外の航空会社では乗客に錠剤を飲んでもらうことで健康状態を管理し、体温で室内の温度を変えたり、胃酸の状態で食事メニューを考えたり、血液循環からエコノミー症候群を防ぐことなどを検討しているとか。
 個人情報漏えいや機器を体内に入れるなど、少しは不安もあるが、SF映画に出てくるような世界に着々と近づいている。一般化されるのはまだ先だろうが、今後の技術の進歩に期待したい。      (城)