フォーク全盛期の世代といえば学園紛争等の時代。丙午生まれの筆者もいい年だが、フォークを懐かしむほどではないと思っていた。「ブラザーズ5スペシャルコンサート~いとしい仲間たち~」御坊公演の幕が開くまでは◆メンバーは「戦争を知らない子供たち」の杉田二郞、「心凍らせて」の高山巌、「わかって下さい」の因幡晃、「『いちご白書』をもう一度」のばんばひろふみ、アリスの一員として「遠くで汽笛を聞きながら」等数々のヒット曲を持つベーヤンこと堀内孝雄。いろんな組み合わせのデュエットで持ち歌が次々うたわれ、往年のヒット曲メドレーに至って自分が全曲一緒にうたえるのに驚いた。そういえば中学生の頃は歌謡曲より昔のフォークが好きでラジオ番組をせっせと録音していた◆最年少は因幡さん(63)、最年長は杉田さん(71)。2人のデュエットでは「年長さんと年少さんが一緒にやります」と笑わせた。気の合う仲間同士が思いのままにやっているという楽しい雰囲気が客席にも伝わる。面白いばかりでなく聞き応えのある逸話もあり、元バンバンのばんばさんと高山さんの思い出では、まったく売れずに高山さんがバンドを離れた途端「『いちご白書』をもう一度」が大ヒット。高山さんは工場で働きながらラジオで流れるたび淋しい思いをしたという◆フォークは戦後の日本では社会へのレジスタンス(抵抗)の音楽として発達した。普通ならリタイアの年になって「日本を元気にしよう」と立ち上がった5人の行動もある意味、不安だらけの現代社会への果敢なレジスタンスかもしれない。60~70代の5人がパワー全開のステージを目の前で繰り広げる、その光景自体が見る者の元気になる。このレジスタンスは成功しているんだなと思った。 (里)

