先日、小学校へ取材に行ったとき、「ここにお菓子の袋が落ちてる」との声が聞こえてきた。ちょうど、野球部の子どもたちが練習を始めるところだった。その声の方を追ってみると、ユニホームを着た低学年とみられる子どもが数人でごみ拾いをしている。「毎日、君たちだけでやっているの?」と尋ねると、「寒くなってきてからは、ほとんど毎日。それから、みんなでごみ拾いする日もある」と返事があった。自分たちが練習で使用するグラウンドをきれいにすることは、いい心がけ。ごみ拾いを通じて心を磨けば周囲への気配りなどを自然と身につけることができ、野球の技術向上にも役立つだろう。この日の夕方はかなり冷え込んだが、少し温かい気持ちになった。
 剣道で日本一に輝いた選手の講演の中で、こういう話も聞かせてもらった。「全日本選手権で優勝を狙っていたが、敗れてしまった。自分には何が足りなかったのだろうか。あれこれ考えたが、まずは毎日、誰よりも早く道場に来て稽古ではなく掃除をするようにした」。この選手はそれからすぐに念願の日本一を達成したという。たかが掃除と思うかもしれないが、その心がけしだいで稽古に打ち込む姿勢も変わる。持ち前の技にプラスして精神面が鍛えられたからこそ夢をつかめたのだと思う。
 大相撲の横綱・日馬富士が、前頭の力士に暴行を加え、大けがを負わせたニュースが連日、テレビや新聞をにぎわしている。横綱はまさしく「心技体」いずれもが問われる最高の地位。それだけにショッキングな出来事だ。いかなる理由があっても暴力での解決は許されないし、「心」の鍛錬が足りない力士は横綱とは呼べない。子どもたちには見せたくないニュースである。  (賀)