JICA(国際協力機構)ボランティアの青年海外協力隊として、昨年10月からベトナム共和国のホーチミン市へ派遣されている御坊市塩屋町北塩屋出身の作業療法士溝口景子さん(28)が一時帰国した。現地での生活や活動については毎月、日高新報への連載記事としてメールでレポート。2年間の任期のちょうど半分が終わり、今回は休暇をとって初の里帰りで、これまでの成果と今後の目標などを聞かせてくれた。
 溝口さんは作業療法の知識と技術を伝達し、ベトナムの医療の向上に寄与することを目的として、ホーチミン市の市立医療薬科大学病院に勤務。ホームステイをしながら、病院では医師や看護師、理学療法士とともに、病気や事故で運動機能の落ちた患者のリハビリ等を担当している。
 患者の機能回復、心身の健康を取り戻すという目標は同じでも、ベトナムは日本に比べると医療環境の整備が遅れており、スタッフの医療に対する意識や価値観も日本と異なり、苦労することが多い。ベトナムは社会主義国の縦割り社会が医療現場においてもみられ、日本では当たり前の医師と看護師、栄養士、理学療法士らが連携して治療にあたる「チーム医療」という考え方に関して意見がぶつかることもある。
 これまでに最も苦労したのは、血圧計に関するやりとり。リハビリは脳血管障害の後遺症からの回復を目指す患者が多く、訓練前や訓練中は血圧、心拍数などのバイタルチェックは欠かせない。現地のスタッフもその認識はあるものの意識が低く、理学療法士や看護師は1人1個が当たり前の血圧計を持っていない。溝口さんはこれを問題として血圧計の増配をカタコトのベトナム語で交渉、病院側に何度も申請したが、権限の大きい医師のひとことで却下。いまだ実現できていないという。
 生活面では、現地の食事も口に合い、国民はすごく親日的でとくに不便はない。ただ、暑さには知らず知らず体力を奪われているようで、「日本ではほとんど風邪をひいたことがなかったのに、ベトナムでは2カ月に1回ぐらいのペースで体調を崩しました」という。
 任期は来年10月まであと1年。「ベトナムの患者さんにとって、日本のやり方が100%正しいというわけではありませんが、私が必死に改善を訴え、日本式のリハビリによって早く回復した患者さんもいます。ベトナムの看護師らはその現実をみて初めて納得、『やっぱりケーコのいうこと、日本のやり方は正しいんだ』と理解し、受け入れてもらえました。任期はあと1年ですが、現地の仲間と心を通わせ、患者さんのために頑張りたいです」と笑顔をみせ、約2週間の里帰りで英気を養い、13日に再びベトナムへ戻った。