事故の傷病者や急病患者の救命率アップへ向け、県が運行するドクターヘリと現場の救急隊員の連携を強化しようと、28日に日高広域消防で初の症例検討会と訓練が開かれた。フライングドクター、ナースが実際に救急車内に乗り込み、救急隊との患者情報の共有から素早い措置への移行を本番さながらに実践。スピードと正確性が求められる救命の最前線で、それぞれの役割とスムーズな連携を確認した。
 ドクターヘリは2003年に運行を開始。フライングドクター、フライングナース1人ずつが乗り込むことで、救命処置の開始が格段にスピードアップ。救命率や患者の社会復帰率アップに貢献するなど「適切な医療を早期に受けられれば、避けられた可能性のある死亡」を回避することに大きな威力を発揮している。処置を担う県立医大高度救命救急センターではより迅速・的確な救命措置につなげるためには、ヘリに搭乗する医師、看護師と現場の救急隊との連携が不可欠として、3年前から県内各消防に出向いて合同訓練等を実施し、顔の見える関係づくりを進めている。日高地方関係では、今回の日高広域消防との訓練が初めてとなった。
 高度救命救急センターの加藤正哉教授や医師2人、看護師2人が広域消防を訪問。症例検討会では過去の実際の事例を挙げて措置についての指導を受けた。訓練は「66歳男性、歩行中に左に傾いて脱力」など3つの想定で行い、ドクターヘリの要請、医師に引き継ぐまでの措置、医師や看護師のサポートを実践した。救急隊は「左上下肢(左腕と左足)に麻痺あり。脳血管障害の疑い」などと駆けつけた医師に伝え、医師と看護師は救急車内で患者に話しかけながら手際よく処置を行った。
 医師、ナースからは「ヘリ内では看護師が患者の左側にいるので、点滴等は左腕でとってもらえると管理しやすい」「手術等は家族の承諾が必要なので、救急隊が家族の有無や連絡先などの情報を取ってくれていると迅速な処置につながる」など具体的なアドバイスを受け、救急隊員は「非常に参考になった」などと知識を深めていた。