印南町内の各地域の祭りが一堂に会して、当時の役場から印南浜まで屋台や四ツ太鼓が行進したのはいまからちょうど30年前、町制30周年のときだ。筆者は中学1年生だったが、にぎやかさと、祭り好きなことも手伝って、いまでもはっきりと記憶に残っている。節目を祝うにふさわしいイベントとして祭りを選んだところに印南っ子らしさがあふれていた。それだけ祭りは地域にとってかけがえのない行事であるという表れでもあろう。地域住民が一体となり、地域力を向上させる催しの代名詞ともいえる。ことしも秋祭りシーズンが間もなく訪れる。時間の許す限り、多くの人に参加してもらい、大いに楽しんでほしい。
 30周年からさらに30年を積み重ね、印南町はことし60周年を迎えた。台風接近の影響で延期されつつ、23日に行われたイベントは、会場の印南浜に大勢の人が訪れる盛況ぶり。クライマックスを飾った花火も大盛況だった。正直、40周年、50周年に何をやったのかすぐに思い出せないが、60周年の節目は記憶に残る催しになったと、個人的に思っている。
 印南町の最近10年を振り返ってみて、幼稚園と保育園が一体化したいなみこども園開設、医療費の無料化年齢拡大、切目川ダムの完成、津波避難路の整備などなど子育て支援や防災対策などが目に見えて進展している。今後の課題は、全国的にもいえることだが、少子化に伴う人口減が一層進む中、行政運営や教育環境をどう整えていくかだろう。ひとまず10年後の70周年では、この10年間で印南町はさらによくなったといわれるよう、行政にも教育にも地域全体でかかわることが求められる。祭りで培った地域力を今後、大いに発揮していこう。     (片)