今月7日に紀伊半島に上陸した台風5号の高波で、みなべ町山内の千里の浜に産卵していたアカウミガメの巣穴が大きな被害を受けたことが分かった。日本ウミガメ協議会の調査では、108個あった巣穴のうち確認できたのは38個だけ。残りの70個は流出したとみられる。関係者らは、ふ化率の低下を心配している。
 台風5号の上陸前には108個の巣穴があったが、海岸から浜の奥まで打ち寄せた波で70個が流出したとみられる。残った38個の巣穴についても長時間水没した可能性があり、卵が死んでしまうことも考えられる。関係者によると、「産卵シーズン途中に台風による高波があった場合、その後にウミガメが上陸して産卵するが、ことしは産卵が終盤だったため、多くの巣穴に被害が及んだ。ふ化率の低下が心配」という声もある。
 ことしの産卵状況をみると、初上陸と初産卵は5月18日で、昨年と同じ時期からのスタート。序盤は低調だったが後半に盛り返し、今月10日朝現在で昨年の122回(上陸254回)と同じ産卵回数となった。以後も産卵があり、ことしは昨年を上回っていた。特徴としては、全体的に例年より3~4週間程度遅れていた。例年だと6月後半から7月中旬ごろにピークを迎えるが、ことしのピークは7月後半だった。