Vプレミアリーグ・東レアローズ女子バレー部で活躍した御坊市職員(教育委員会勤務)の芝田安希さん(36)が、「仕事の一環」で中学生女子バレーボール部の外部コーチとして活動している。職員が持つ高い専門技術を生かし、地域のスポーツ振興につなげる御坊市初の取り組み。部活指導が終わる時間までが就業時間で、出勤時間を遅らせるフレックスタイム制を取り入れるなど、能力をフルに発揮できる環境を整えた。
 芝田さんは国内トップのプロリーグの名門東レアローズでウイングスパイカーとしてチームをリーグ優勝など数々のタイトル獲得に導き、主将も経験。日本のトップで輝かしい戦績を残した。現役引退後、平成27年度に一芸に秀でた特別枠で市職員に採用されてからもバレーボールへの情熱は増すばかりで、ことし5月には日本代表の監督を務めることができる最高レベルの指導者資格である上級コーチを取得している。
 職員の持つ特別な能力を、地域のスポーツ振興に生かさない手はないと、中学生女子バレー部の指導ができるよう市教委が体制を整えた。市内各中学校から希望校を募り、5月末から御坊、湯川、大成の3中学校で週3日間(各校週1回)外部コーチを務めている。市職員の就業時間は午前8時半から午後5時15分までだが、部活は午後4時から6時すぎまで行っているため、指導に行く日は出勤時間を遅らせ、部活が終わる時間までを就業時間にして、指導が中途半端に終わらないよう配慮している。夏休みに入ってからは午前中に部活指導し、午後から通常業務をこなしている。
 部活では、選手一人一人に応じて指導。初心者にはアンダーハンドパスやオーバーハンドパスなど基本を丁寧に教え、経験者にはさらなるレベルアップへ体の有効な使い方、レベルの高いチームは戦術やメンタル面をアドバイスしている。芝田さんは「チームプレーなので、ボールをつなぐこと、仲間と力を合わせることの大切さを教えるように心がけています。バレーを好きになって、高校や大人になっても続けていってもらいたい。少しでもそのお手伝いをして、スポーツの振興にも貢献していきたい」と抱負を語っている。