子どもの頃の30~40年ほど前には、今頃の時期になると家の周辺でホタルが飛び交っていた。すぐ近くで幻想的な光を放ち、時には家の中にまで入ってくることもあった。当時はそれが当たり前の風景だったが、その後、ホタルは年々減少。一時は復活の兆しがあったものの、平成23年の紀伊半島水害で河川が壊滅的な被害を受けて激減した▼ホタルから連想されるのは、自然豊かなのどかな地域。ホタルが乱舞するというだけでその地域がイメージできる。そこに住む人々さえ温厚な性格ではないかと想像してしまう。それは地域振興の手段としても用いることができるのではないか。例えば、「ホタルが飛ぶ温泉の村」ときくと「ホタルを眺めながらのんびりと温泉に浸かってみたい」と思うし、「ホタルが飛ぶ里で採れた野菜」というだけで、なんとなく安心・安全な感じを受ける。他地域に対する宣伝手段の1つとして使えるだろう▼田辺市龍神村では、ホタルを復活させようという取り組みが行われている。宿泊施設でつくる「龍神お宿の会」が平成25年から養殖活動などを実施、昨年ごろから成果が出始めた。場所によっては50匹ほどが乱舞する光景がみられ始め、ことしは今月9日に同村小家地内で初めての観賞イベントも開催。ホタル観賞のほか小家太鼓の演奏、キーホルダーづくり、蛍光塗料の袋に包んだ餅を投げる餅まき、飲食バザーの出店などもある。ぜひ、読者の皆さんも来場して楽しんでみてはいかがだろうか▼主催は龍神お宿の会、地元区、商工会、Iターンの芸術家らが住むアトリエの家らで構成する「ホタルとともにかがやく龍神村づくり実行委員会」。ホタルの乱舞が続くことで、実行委員会の名のように地域が輝くことだろう。 (雄)

