現代の日本で暮らす我々の大きな課題の一つに、南海地震の対応がある。海岸部で生活する住民にとってはまさに死活問題。避難路の確認、避難方法など普段から考えておかなければ、いざという時に即座に行動に移すのは難しい。いろんなケースをシミュレーションし、最善の対策を検討しておくべきだ▼過去の震災から教訓が得られることが多い。6年前に起きた東日本大震災もその1つ。成功事例として、小中学校の児童生徒約3000人のうち99・8%という奇跡的な生存率となった「釜石の奇跡」はよく知られた話。立役者の群馬大学の片田敏孝教授は「想定にとらわれるな」「最善をつくせ」「率先避難者になれ」の3つの原則を訴えている▼この時は車での移動が渋滞を引き起こし、避難の支障となったケースがあった。その教訓から「原則として徒歩で避難しよう」というのが一般的な考え方となっているが、車でなら渋滞がなければ短期間に遠くまで逃げられるし、避難生活に活用できるという大きなメリットもある。だが自治体などが「徒歩で避難を」と推奨すると、それが正しいと思い込みがちだ▼先日、みなべ町西岩代地区で車による津波避難訓練が行われた。参加の住民からは「民家も少ない。渋滞を引き起こすことは考えにくいから車は有効」「カーラジオで災害情報を入手できるし、寒さをしのいで寝泊りもできる」などの声が聞かれた▼地域や時間帯などによって最善策は異なる。片山教授の教訓の一つに「想定にとらわれるな」がある。思い込みは厳禁ということ。一般的な考え方も場合によって最善ではないこともある。自分や家族の命がかかっている。もう一度、避難方法を見直してみる必要があるのではないか。(雄)