御坊市名田町の若手スターチス生産者らが、母の日に花束を持って墓参りに行く「母の日参り」を提唱したのが数年前。家族愛を再認識する日にしようとの取り組みで、着実に浸透してきている。確かきっかけは親が子を、子が親をあやめる事件が全国的に続発するのを憂い、名田の若手生産者が「愛が不足している。家族愛を確認し合う取り組みがしたい」との純粋な思いからだったと記憶している。JA青年部メンバーを中心にフラワーボーイズを結成し、全国各地でPR活動を展開。いつかはバレンタインデーのように誰にも知られる記念日にしたいと熱く語っていたのは忘れられない。
 そのスターチス、今度は別の角度から全国に、世界に広げようとする取り組みが始まった。「変わらぬ心」「途絶えぬ記憶」という花言葉に着目し、認知症支援のシンボルの花にしようとするユニークな提案だ。御坊市介護福祉課の職員の発案で、フラワーボーイズのメンバーを講師に招いて介護事業所職員らが集まる研修会で交流も行っている。花農家と介護職、普段交わる機会はほとんどないが、視点や考え方一つで共通項が見つかり、交流が生まれるいい例だ。
 御坊市は認知症支援で全国先進地といわれ、スターチスの生産量も全国1位。母の日参りと認知症支援のシンボルとして認知度がますます高まることを期待するのはもちろん、互いの職種の理解が深まることこそが最も大きな意味を持つ。異業種、多職種がそれぞれを理解し、リスペクトし、協力できれば地域振興や防災などあらゆる面で共助、そして強い絆につながる。スターチスから始まる地域交流の輪が、もっと大きくなっていくことを願う。 (片)