先日、有田地方のある小学校の校長先生と話をする機会があった。先生いわく、「うちの学校では授業中に担任が教室にいなくても授業が成り立ちます」。子どもたちは黒板に向かうのではなく、子ども同士が向かい合い、分かる児童が分からない児童に勉強を教えてあげる。互いに足りない部分を補い合うことで協調性が生まれ、勉強だけでなく学校生活全般にいい影響と結果をもたらしていると、胸を張っておられた姿が印象的であった。なんでもかんでも教わるのではなく、自分たちで考え、解決法を見いだしていく。先生の言葉から、クラスの団結力と一人一人の自主性が育まれている子どもたちの姿を容易に想像することができた。
 教育について筆者は素人でどのようなやり方が最善なのかは分からないが、子供たちの自主性が伸びているならこのような方法はモデルケースの一つと言っていいだろう。実際、文部科学省からも授業を見学に来ており、「ここの授業が理想」と太鼓判を押してもらったという。もしかすると将来、この学校のやり方が全国に広まっていくかもしれない。そんな期待感を抱かせてくれる先生の満ちあふれた自信が頼もしく感じられた。
 子どもの自主性を伸ばすオリジナルの授業の根底にあるのは、徹底した仕組みづくりではなく、先生と児童の信頼関係だと強調されていた。全国学力テストで和歌山県が全国平均を大きく下回った2年ほど前、春休みにどっさり宿題が出ていたのを思い出した。学力を上げるために必要なことは単に勉強を押し付けるのではなく、子どもの自主性を伸ばすことが重要なのだと、あらためて感じさせられた。(片)