みなべ町は13日、同町気佐藤のミナベ化工㈱(藤井達夫代表取締役社長)と「津波発生時における一時避難施設としての使用に関する協定」を締結した。津波が発生した時は近隣住民が同社の事務所に逃げ込むことができるようになり、津波避難困難地区の解消対策へ一歩前進。藤井社長は「万一の時には気兼ねなく事務所に避難してほしい」と話している。
 調印式は役場で行われ、小谷芳正町長、藤井社長、地元の新庄地区自主防災会の森本晃会長と気佐藤地区自主防災会の松崎健次会長の4人が協定書に署名、押印した。小谷町長は「地域の安全安心につながる」、森本会長は「避難場所を設けていただき、住民も喜んでいる」と感謝の言葉を述べ、藤井社長は「新しい事務所は10月に竣工したが、避難所として利用できる設計で建設した。いつでも誰でも避難してほしい。今後も地域住民とともに歩んでいきたい」と述べた。
 同社事務所はJA紀州の統合選果場前にあり、昨年10月に耐震重視の設計で建て替えた。鉄骨造り4階建て(延べ床面積1758平方㍍)で支柱15本を地下30㍍まで打ち込むなどして耐震を強化し、非常食や飲料水、簡易トイレ、発電所なども常備している。350人以上が避難でき、食糧も3日分備蓄。同社周辺では南海トラフの地震が発生した際の津波浸水予想は3・15㍍で、到達時間は25分。建物の高さでは、4階部分の高さは12・5㍍、屋上は16・3㍍となっている。町は、今回の協定と来年度に気佐藤地内に完成する津波避難センターなどで、新庄地区と気佐藤地区の津波避難困難地区の解消を目指す。