舞鶴の海にボロボロの木造船が流れ着き、船内から頭蓋骨や骨盤など8体分の人骨が見つかった。一緒に発見された作業服のポケットには北朝鮮の紙幣が入っており、ほかにハングル表記のたばこの箱もあった。
 日本海側では昨年秋ごろから国籍不明の木造船の漂着、遺体の漂着が相次いでおり、今回と同じように船内から見つかった遺体は延べ数十人、いずれもハングル文字の衣服やメモが発見されている。北朝鮮の漁業者、または同国から脱出してきた難民の船ではないかとみられている。
 このままではいずれ確実に政権崩壊、暴発的な政変が起きるといわれる北朝鮮に対し、中国の国境のまちでは金王朝崩壊を想定し、南から押し寄せる大量の難民に備え、食料貯蔵庫や一時収容施設の整備が急ピッチで進み、人民解放軍の基地も新設されているという。
 北朝鮮と同じ社会主義を標榜している国の中には、経済を開放しながら独裁を維持する中国もあれば、貧しくとも国民の医療と教育には格差を生まないキューバもある。しかしそれぞれ一長一短、本来の理想を実現できている国はなく、独裁に陥った国も少なくない。
 国民をかえりみず、己の見栄と欲望のまま金を使い、核兵器を作り、ミサイル発射を繰り返す狂気はどこまで続くのか。同じく国際社会のルールを守らず、孤立しながら支え合ってきた中国というボスのさじ加減一つで、王朝維持の目論見は一気に崩れ去るが、いよいよ支えきれなくなったか。
 各国が自国優先主義を強めるなか、トランプ新大統領は中国、北朝鮮に対してどう出るか。流れ着く木造船、中国の難民対策のニュースを見る限り、それを待つまでもなく、王朝崩壊のカウントダウンが始まった気もする。  (静)