大相撲の横綱、白鵬関が今月15日の取組で通算1000勝を達成。歴代3人目、史上最速を記録した
白鵬のファンになったのは、まだ朝青龍が横綱だった時。朝青龍の傍若無人な振る舞いに比べ、白鵬のストイックな風貌、慎み深い品のある態度は際立って目に映り、名前の通り体も白く輝くように見えた。強さも、見ていて惚れ惚れするくらいだった
それがある時を境に、相撲が乱れ始めたように思った。「猫だまし」で物議を醸したり、審判批判でバッシングを受けたり、立ち合いの変化でブーイングを浴びたりとそれまでの白鵬らしからぬ相撲になっていた。その背景には、周囲の微妙な雰囲気があるように思えた。優勝回数で記録をつくったあたりから、白鵬が勝てば勝つほど「そろそろ日本人力士の快進撃をもっと見たい」という観客の気持ちが揺らめくように感じ取れた。「精進して勝つこと」をひたすら目指してきたのに、勝てば勝つほど観客の気持ちが離れるなら目指す場所がわからない。これは辛いだろうと、心を痛めながら見守っていた
そして先場所はけがで休場、復帰の今場所3日目。豪快な上手投げで1000回目の勝利を決めると観客から惜しみない拍手と歓声が送られ、白鵬は花道を歩みながら晴れやかに笑った。その笑顔に、周囲の思惑がどうあろうが、相撲の神様の心にかなうよう迷いなく立派な相撲を取り続けるとの決意が見えるようだった
この日、解説の舞の海秀平さんは白鵬の右耳がつぶれていることに触れ、「体の小さい少年がモンゴルからやってきて、本当に厳しい稽古を積み重ねてここまできたことの証」という意味のことを述べていた。あらためて、精進し続けた道の先に輝く栄冠の価値を思った。 (里)

