アメリカの大統領選挙が8日に行われ、共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン氏を破って勝利した。クリントン氏は政治経験がない上、「すべてのイスラム教徒は入国を拒否すべきだ」「メキシコとの国境に壁を建設し、費用はメキシコに払わせる」などの数々の暴言を吐き、「トランプ氏が大統領になったら世界はどうなるのか」という不安の声も聞かれた。しかし、アメリカ国民が選んだのはエリート政治家のヒラリー氏ではなかった。見通せない先行きは株式市場にも波及し、9日の日経平均の株価は稀に見るような暴落となった。
 トランプ氏勝利の背景には、経済などに不安を持った国民が「現状を変えてほしい。それをできるのはいままでの政治家ではなく、新しいタイプ」と支持したという構図があったと言われている。6月にイギリスで行われたEC脱退に伴う国民選挙もそうだった。イギリスがEUに加盟していることで移民を受け入れなければならず、仕事を奪われてしまうという国民の不安があったことが離脱を選択した要因の1つとされる。大統領選、イギリスの国民投票ともに根底にあったのは住民の不安。チェンジへの選択だった。
 先月初めに行われたみなべ町の議員選挙も見方によっては同じ。立候補した現職9人のうち4年前の前回票を上回ったのは1人だけ。8人は前回票を下回り、新人が上位を独占した。梅産業の低迷で住民の生活が苦しくなっている中、現職議員ではなく、新人候補に「現状を変えてほしい」というメッセージだったのかもしれない。今回の大統領選が単なる海の向こうで起こった出来事と簡単に片付けることはできない。 (雄)