美浜町、同町教育委員会主催の人権教育講演会は5日、松洋中学校体育館で開かれた。「シミケン」の愛称で親しまれている読売テレビアナウンサー、清水健さん(40)が「大切な人の『想い』とともに」をテーマに、昨年2月に他界した妻の奈緒さんへの思いを語った。開場前から多くの人が詰めかけ、立ち見を含め約800人が清水さんの真情のこもった講演に耳を傾けた。
清水さんは、報道番組「かんさい情報ネットten.」のメーンキャスター。妻の奈緒さんは妊娠直後に乳がんが発見され、「3人で生きたい」と長男を出産。わずか3カ月後に、29歳の若さで亡くなった。清水さんは1周忌のことし2月、「112日間のママ」を出版。一般社団法人清水健基金を設立し、本や講演の収益等は入院施設の充実やがん撲滅に取り組む団体へ寄付している。
マイクを手に舞台に登場した清水さんは、まず多くの人の支えに感謝。「あれから2年、闘病を始めてからは3年がたちます。息子が元気に2歳になってくれたことが最高の幸せ。ぼくの時間は止まったままですが、息子はちゃんと大きくなる。帰ると『パパ、パパ』と満面の笑顔で足にしがみついてくる。ぼくの宝です。めっちゃかわいい。でもめっちゃ(いたずらっ子で)悪いんです」と笑わせながら、「ぼくの一番大きな仕事は、息子に『おまえのママがどんな人だったのか』しっかり伝えること」と話し、在りし日の奈緒さんの姿や結婚式の写真を収めた映像を上映。会場からはすすり泣く声も聞かれた。清水さんは「笑顔の写真ばかりでしたが、あえて選んだわけではなくどの写真も妻は笑顔なんです。ぼくの前では一度も泣かなかった。ぼくが踏ん張るために笑ってくれた。でも一人でいっぱい泣いていたのかもしれない。病が憎い。悔しくてたまらない。今の僕は後悔の塊です。妻が泣いていた時、一緒にいてあげられなかった」とつらい気持ちを話し、「病との闘い方はさまざまで、正解はない。もし今闘っている人がいたら、どれだけ泣いても助けを求めてもいいと思います。そんな人が近くにいたら一緒に泣いて、一緒に希望を見つけて、希望に向かって笑えるようにしていきたい」と今の心境を語った。「ぼくの本を読んだあと、横にいる家族を見たという感想をたくさんいただきました。ふと大切な人を思う、そんな本になっていたのならうれしく思います。カメラの前に立ち続けることで1人でも『私も頑張ろう』と思っていただけるのなら、立ち続けていきたい」と決意を話し、「どうか今、この時を大切にしてください」と来場者に呼びかけた。客席からは「頑張って」とエールを送る姿もみられた。

