県教育委員会は、「肢体障害者が通う県立南紀支援学校(上富田町)と、知的障害などを持つ子どもたちが通学する県立はまゆう支援学校(同)を統合させる」と発表した。みなべ町など4市町が校区。肢体障害と知的障害など複数の障害を持つ子どもたちに対応できるモデル校として編成する。来年度から新校舎の設計に入り、開校は通常5~6年先となる見通しだが、県教委では「1年でも早く統合させたい」と話している。
 南紀支援学校は昭和42年に開校。小学部、中学部、高等部の肢体障害者33人(5月1日現在)が通う。はまゆう支援学校は52年に竣工し、知的障害のある小学部、中学部、高等部の児童生徒165人(同)が在籍している。いずれも老朽化などがあり、教育環境の改善が必要とされていた。校区はみなべ町、田辺市(本宮町除く)、上富田町、白浜町の4市町。障害のある児童生徒の自立と社会参加に向けた特別支援教育の充実に努めてきたが、ニーズや学校の役割が多様化し、平成18年9月のきのくに教育協議会で「両校の統合を早期に実現し、複数の障害種に対応した特別支援学校のモデル校へ編成を検討することが妥当である」と提言された。これを受け、19年に「南紀・はまゆう統合問題検討委員会」を立ち上げ、22年まで3年間にわたって協議。ことし3月には「統合する方向性」を決定していた。新しい支援学校は、南紀支援学校の敷地内を中心に段階的に建設。新校舎の一部が完成した段階で、施設の一部を供用させる。全施設の完成後、肢体不自由教育、知的障害教育、聴覚障害教育を行う統合校として開校する。内容、特色としては▽重度・重複障害のある児童生徒ら1人1人の教育的ニーズに対応する教育▽安心・安全な学校生活を支える学習環境の整備▽みなべ、田辺・西牟婁地域の特別支援教育のセンター的機能を有する――等としている。