二十数年前、アミューズメント施設で3年間、アルバイトをした。ボウリング場、ゲームセンター、書店、CD等のショップ、レストランなどがあり、レストランのホールスタッフをしていた。早朝3時までの仕事だが、一番厄介だったのは食事に異物が混入した時の対応。飲食店ではどんなに気をつけていても髪の毛などが混入する場合がある。大抵のトラブルはオーダーの品をあらためて提供すれば許してもらえたが、なかには「責任者呼んでこい」と怒鳴り散らされ、どうにもならないことも。施設内では50人以上が働いていたが、ほとんどがアルバイト。責任者はわずか数人の社員であったが、レストランから呼び出しがかかるとすぐに問題解決に当たっていた。
 東京都中央区、築地市場の移転先となる江東区、豊洲市場。建物の下に土壌汚染対策の盛り土がなかった問題で、もう1カ月以上も大揺れになっている。今月1日には小池百合子都知事が第2回の検証報告書を公表。2011年に市場長を務めていた副知事など実務上の決定者8人が懲戒処分対象であることを明らかにしたというが、盛り土しないことの発案者を特定することはできなかったらしい。「責任者出てこい」と都民は怒り爆発も、関係した人たちはほぼ知らん顔。普通の感覚ではありえない話だ。
 税金を使い、また給料としてもらって仕事をする公務員。誰が、どのような決定を下したかの「責任」の所在がブラックボックスの中というのが、豊洲移転で浮き彫りになった大きな問題と思う。「責任感」なく仕事しているから、トラブルの際にも「責任」を取ろうとする人が現れないのだろうか。これではアルバイト先の社員の方がずっと立派だ。(賀)