まだまだ残暑厳しいが、これから本格的な行楽シーズンに入る。ここ数年、泊まりがけの家族旅行とも縁遠くなった中で、先日、御坊市塩屋町の日高港で豪華客船の船内を見学する機会があり、旅行気分を味わえた。商船三井客船の「にっぽん丸」で、全長166㍍の船体、船旅の経験がない筆者はまずその大きさに圧倒された。船内にはプール、シアター、ゆったりとくつろげるスペース、運動不足解消のためのランニングマシーンなどすべてそろっていた。まさに船上ホテルという名がぴったり。短い時間の見学だったが、いつかはこの船で旅をしたいという思いを持つことができた。
 その理由の一番は、豪華な設備だけでなく、丁寧なスタッフの応対があったから。ただ仕事としてやっているのではなく、乗客や見学者に分かりやすく説明し、この船を好きになってほしいという思いがひしひしと伝わってきた。これこそが最高のおもてなしで、いくら機能や設備が整っていても、人と人とのコミュニケーションに勝るものはない。人が安らぎを感じるのは、人の優しさや温かみに触れたときである。
 御坊をはじめ日高地方では観光による地域活性化へ向け、地元の魅力の再発見というのがテーマになっている。磨けば光る観光資源を洗い出すことは大切なことだが、最も重要なのはやはり人。「どうすれば御坊日高に来てもらい、好きになってもらえるだろうか」とふるさとを思う、そんな純粋な気持ちを持った人こそが観光振興には最も必要だ。
 生きがいを見つけて人生を楽しみ心を磨いている人なら、ふるさとを愛し、外から来てくれる人を心から歓迎できる。生き生きと輝く人が大勢いるまちこそ、本当に魅力のあるまちといえるだろう。 (片)