高野・熊野の世界遺産を訪れる外国人など和歌山県への観光入り込み数が年々増えているなか、県は一層の観光客増を目指し、新たに高級ホテル・旅館を対象とした奨励金制度を創設した。すでにある宿泊施設への圧迫、不公正とならないよう、県内にはまだないラグジュアリーホテル等の誘致を想定。全客室への無料Wi―Fi整備、10人以上の新規地元雇用等を条件に、最大で3億円の奨励金を交付する
 県観光振興課によると、昨年1年間の宿泊客数と日帰り客数を合わせた和歌山県への観光客数は約3340万人で、前年より8・4%(約260万人)増加した。要因には、高野山の開創1200年、アドベンチャーワールドの双子パンダ人気、すさみ町までの高速道路の延伸などが挙げられ、航空便の拡大や運賃低下も追い風となった外国人宿泊客は、前年を40%以上も上回る42万7594人を記録した。
 県は今回、この勢いをさらに加速させるため、外国の富裕層をターゲットとしたラグジュアリーホテルや高級ホテル・旅館を対象に、新たな奨励金制度を創設。誘致活動をスタートさせた。
 ラグジュアリーホテルはミシュランやフランス政府、イギリス政府など著名な格付け機関の高い評価を受けたホテルを対象とし、高級ホテル・旅館は40平方㍍以上の客室があり、最多価格帯がおおむね3万円以上(1泊2食つき)などの施設が対象。全客室への無料Fi―Wi整備、施設内表示やホームページの多言語化、外国語対応ができる従業員の雇用、10人以上の新規地元・転入雇用││などが要件となり、雇用奨励金や立地奨励金、建物賃借補助金など最大で3億円を交付する。制度適用は平成30年度末までに県と協定を締結した場合に限定し、10年以内に事業休止、廃止の場合は奨励金の返還を求める。
 県企業立地課によると、県内には奨励金の交付要件を満たす宿泊施設はまだなく、奨励金を活用して誘致を目指すラグジュアリーホテルは「ミシュランなら四つ星、五つ星クラスを想定」(同課)。似たような高級ホテル・旅館誘致のための優遇制度は千葉県や奈良県などが取り入れており、仁坂吉伸知事は「外国人旅行者の中には、安いホテルには泊まりたくない、高級ホテルのある観光地に行きたいというお金持ちも多く、和歌山県も早晩、ホテルが足りなくなると予想されている。旅行者のニーズも多様化しているなか、ラグジュアリーホテル等ができれば新たな客層、事業者を開拓できるだろう」と話している。