神奈川県相模原市の障害者施設で19人が殺害された大量殺人事件を受け、美浜町和田の和歌山病院(南方良章院長)は30日、病棟で刃物を持った不審者に対する初の防犯訓練を行った。御坊署員の扮する犯人役が迫真の演技で刃物を振り回すなか、看護師らが本番さながら必死に応戦。万が一の事態に備えて対応能力を高めた。
7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者施設で刃物による無差別殺傷事件が発生。元職員の男が乱入、入所者を次々に刺して19人を死亡させ、職員2人を含む26人に重軽傷を負わせた。和歌山病院では安全管理の徹底を要請する県からの通知もあり、御坊署に指導協力を依頼。病棟内に刃物を持った不審者が現れたとの想定で訓練を行った。
犯人役の御坊署員は刃物を手に4階南病棟に入り、「おーい、誰もおらんのかー」と徘徊。出くわした看護師が犯人に声をかけて同時に助けを呼んだ。集まった看護師らはストレッチャーや車いすでバリケードを設置。患者のいる病室への侵入を防ぐとともに、危険を知らせる院内通報を響かせた。他の階から職員らが駆けつけるなか、犯人は刃物を振り回し、「薬くれー」「刺すぞ」と大暴れ。看護師や職員らは刺股(さすまた)で応戦し、ストレッチャーや車いすで壁に追い詰めた。
訓練後、御坊署員が講評し、「犯人は、初め自由に動けたので何人か刺されてもおかしくない。また、実際は戦わず、時間を稼いでください。刃物があるとないでは死ぬ死なないが大きく変わる。近づくようなら、まず刃物をたたき落としてほしい」とアドバイス。刺股の使い方や護身術の指導もあり、南方院長は「不審者への対応は、頭でわかっていても実際は難しく、参考になった。患者さんを守れるように役立てたい。職員の安全も大切。今後も定期的に、きょう参加できなかった職員を対象にしたり、夜間を想定した訓練も行っていきたい」と話していた。

