美浜町の三尾漁協(村尾敏一組合長)が町から補助金を受け、本年度から3年かけてアワビやトコブシの餌となる海藻、アラメの群落再生へ研究を始めることになり、18日には村尾組合長と調査、研究を委託された専門家が森下誠史町長を表敬訪問した。専門家からは3年間で環境調査、群落回復の手法検討、回復試験などに取り組み、今月中にも環境調査をスタートさせるとの事業説明があり、村尾組合長も「産業を活性化させるには藻場の再生しかない」と期待を込めた。
 三尾漁協から研究の委託を受けた専門家は、東京海洋大学学術研究院海洋環境学部門教授で水産学博士の荒川久幸さん(54)=埼玉県=。アワビやトコブシの餌となるアラメなどの海藻が生えなくなる磯焼け問題を研究して約30年、三尾の磯焼け問題に携わって16年と現場の状況にも詳しく、3年にわたる事業の委託を受けた。荒川教授は初年度の環境調査では三尾東地先約50㍍の磯に水温、水深、照度、濁りを計測する3つのセンサーを設置し、今月下旬から1年かけてデータを収集。2年目にはデータを基に群落回復の可能性がある場所を選定、回復手法の検討を行い、最終年度に数カ所で回復試験に取り組むと説明。三尾では「アラメが生えるところが年々浅くなっている。日高川からの微粒子(濁り)の影響で(海藻が育つのに必要なエネルギーの)光が足りなくて海藻が生えないのではないか」との考えを基に、「しっかりと調べたい」と話した。一般的には海藻の胞子を付着させたブロックを投入する磯焼け対策が用いられているが、「それではうまく育たない。違う方法を考えようと思っている」と三尾の環境にマッチした新しい手法を探る方針も示した。
 村尾組合長と荒川教授は役場町長室を訪ね、森下町長のほか笠野和男副町長や役場担当課職員も同席した。本年度、80万円の補助金を予算計上した森下町長は「アワビ、トコブシ、サザエの水揚げが減っているのは認識している」とし、村尾組合長は「アワビ、トコブシの水揚げは以前の30分の1。アワビ漁をしていた人が転職してしまったということもあった。漁が順調なら残ってくれていたと思うので、産業を活性化させるには藻場の再生しかない」と窮状を訴えながら協力を求めた。
 荒川教授は17、18の2日間、美浜町に滞在。村尾組合長と今後のスケジュールなど事業の打ち合わせを行った。