太平洋戦争開戦までの4年間、日中戦争に出征した軍人にふるさとの様子などを伝えた南部通信がみなべ町の資料室で保存されている。昭和12年から16年までにわたって発行。身近なニュースや兵士に送った便りが掲載されている。関係者らは「兵士を気遣う内容が書かれているほか、太平洋戦争が始まる前の当時の様子を知ることができる」と話している。
 南部町軍人後援会が毎月発刊。町内で開かれた相撲大会などの行事、災害の記録など当時の様子を記事にして細かく伝えている。身近な話題も取り上げ、「はじめての男子が出産しました」などという知らせもある。学生が軍人に書いた手紙も紹介され、「いま、夏です。大きな梅だるにうめがたくさん漬けてあります。食べられるようになったら兵隊さんに送ってあげたいと心から思っています」「兵隊さんにはお変わりございませんか。毎日楽しく学校に通っています」などと挿絵を添えてつづっている。
 太平洋戦争が始まる5カ月前の昭和16年7月で終了しており、関係者らは「社会情勢が厳しく、南部通信を発行するような状況でなくなったのではないか」と話している。